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ケガ(災害)発生データ

災害発生状況の分析 vol.9
「データから見る墜落・転落災害」~令和6年度 日本フルハップ災害防止統計資料より~

日本フルハップは、仕事に従事しているときのケガだけでなく、交通事故を含め日常生活全般のケガを補償対象としています。
この度、令和6年度のケガの発生状況等についてまとめました。皆様のケガの防止にお役立ていただければ幸いです。

【前回(vol.8「データから見る墜落・転落災害」)のおさらい】

災害発生状況の分析vol.8「データから見る墜落・転落災害」は、墜落・転落災害が他の災害に比べ、重症化しやすい傾向にあることが分かりました。

また、墜落・転落災害は建設業(31.05%)のみならず、サービス業(24.14%)や卸・小売業(13.63%)、製造・加工業(13.47%)など幅広い業種で発生しています。(「令和6年度 業種別墜落・転落災害発生割合」)

令和6年度 業種別墜落・転落災害発生割合

さらに、建設業における業務中の墜落・転落災害は「はしご・脚立」が約40%(445件中177件)、業務外の墜落・転落災害は「階段」が約45%(309件中140件)を占めることが分かりました。(「R6年度 建設業における墜落・転落災害の要因」)

R6年度 建設業における墜落・転落の要因(業務外) R6年度 建設業における墜落・転落の要因(業務中)

墜落・転落災害は建設業のみならず、どの業種でも骨折等の大きなケガにつながる傾向にあり、頭部などを負傷すれば死に至る可能性もあるため、その危険性を認識し、しっかりと対策を取ることが重要です。

今回は業務中に起きた「はしご・脚立」からの災害事例と、業務外に起きた「階段」からの災害事例をご紹介し、どのような状況で墜落・転落災害が起こっているのか、どのような対策を取ればよいのか詳しく見ていきます。

【業務中における「はしご・脚立」からの墜落・転落災害の事例】

ここからは実際に起きた「はしご・脚立」使用時の災害事例から、取るべき対策を考えます。

【事例1】昇降中にはしごの下部がずれて傾いてしまい、3mの高さから転落

⇒頭部の打撲・頸椎等の捻挫により、入院3日+通院36日(建設/50代/男性)

【事例1】は、はしごをしっかりと固定していなかったことで起こった災害です。はしごを安全に使用するためには、上部・下部をロープや金具でしっかり固定し、固定できない場合は、補助者が下で支えておくようにしましょう。

さらに、はしご・脚立の上では墜落時保護用ヘルメットを装着することはもちろん、2m以上の高さで作業を行う場合は、フルハーネス型墜落制止用器具を着用することが労働安全衛生法で義務づけられています。

【事例2】脚立に乗って力任せでネジを抜く作業をしたところ、反動で転落

⇒右肩の腱板(スジ)を断裂し、入院32日+通院48日(製造・加工/50代/男性)

【事例2】は、脚立の上で力のかかる作業をして起こった災害です。脚立の上では体を支えるものが無いため、作業中の反動によりバランスを崩し、転落する危険性があります。力のかかる作業を行う場合は、バランスが取りやすい手すり(上わく)付きの踏台や作業台の使用を検討してください。

また、はしごや脚立以外でも同様の災害が発生しています。

【事例3】コマ付きの椅子に乗ってエアコンの掃除をしたところ、コマが動きバランスを崩して転落

⇒右膝じん帯の損傷・右母趾(足の親指)の骨折により、通院10日(製造・加工/60代/女性)

【事例3】は、踏台・脚立代わりに手近な椅子を使用したことで起こった災害です。椅子は座面に乗って作業することを想定していないため、踏台や脚立に比べて不安定です。特にコマ付きの椅子は少しの反動でコマが動き、バランスを崩しやすいため、踏台・脚立代わりに使用することは絶対に止めましょう。
災防メモ①知っていますか?はしご・脚立を安全に使用するためのルール

はしご・脚立は労働安全衛生規則によって安全に使用するためのルールが決められています。

≪移動はしご≫ (労働安全衛生規則 第527条)

事業者は、移動はしごについては、次に定めるところに適合したものでなければ使用してはならない。

  • 一 丈夫な構造とすること。
  • 二 材料は、著しい損傷、腐食等がないものとすること。
  • 三 幅は、三十センチメートル以上とすること。
  • 四 すべり止め装置の取付けその他転位を防止するために必要な措置を講ずること。

    ※転位:はしごの位置がずれること


≪脚立≫ (労働安全衛生規則 第528条)

事業者は、脚立については、次に定めるところに適合したものでなければ使用してはならない。

  • 一 丈夫な構造とすること。
  • 二 材料は、著しい損傷、腐食等がないものとすること。
  • 三 脚と水平面との角度を七十五度以下とし、かつ、折りたたみ式のものにあっては、脚と水平面との角度を確実に保つための金具等を備えること。
  • 四 踏み面は、作業を安全に行うため必要な面積を有すること。

上のように、はしご・脚立を使用するには一定の基準を満たしたものでなければいけません。使用する際は、はしごの転位防止の措置や脚立の水平面との角度について確認し、必要に応じてはしごを下で支える補助者を確保するほか、脚立の補助脚を装着しましょう。

【業務外における「階段」からの墜落・転落災害の事例】

階段は一番身近な昇降設備のため、墜落・転落対策をしっかりと取っておくことでご自身だけでなく、周りの方の安全も高めることができます。

ここからは実際に起きた「階段」使用時の災害事例から、取るべき対策を考えます。

【事例1】自宅階段にて両手に荷物を持っていたため、足元が見えておらず、最後の2段を踏み外した

⇒右足関節を捻挫し、通院2日(女性/60代/午前8時頃)

【事例1】は、両手が荷物で塞がり、足元が見えなかったことにより起こった災害です。階段では手すりを持って昇り降りできるよう荷物の量を減らして複数回に分けて運ぶことに加えて、階段を視認できるように荷物を持ち替えるなどの工夫が重要です。

【事例2】雨で濡れたビルの屋外階段から滑り落ちた

⇒左足関節を骨折し、入院8日+通院28日(男性/60代/午前8時頃)

【事例2】は、ビルの屋外階段が濡れて滑りやすくなっていたことで起こった災害です。屋外の階段は石段やコンクリート製のものが多いですが、凹凸のない平らな面の上では水の膜が張りやすく、ハイドロプレーニング現象が起きやすくなるため、必ず手すりを持って昇降しましょう。また、玄関や庭先など、滑りやすい屋外階段については手すりの設置だけでなく、滑りにくい素材のシールや床材を貼ることもご検討ください。

※ハイドロプレーニング現象:雨などにより床と靴の間に水膜が張られ、摩擦力が大幅に低下する現象

【事例3】夜中、トイレに行った後、暗がりの階段で足を滑らせて転落

⇒背骨や肋骨等を複数箇所骨折し、入院56日+通院3日(女性/80代/午前3時頃)

【事例3】は、夜中の眠い時間帯に階段を使用したことで起きた災害です。高年齢層の方は夜間にトイレに行くために起きることが多くなりますが、家族の睡眠を妨げたくないといった理由で、照明をつけないまま階段を使用する場合も多いようです。人感センサー式の足元灯(フットライト)を設置するなど、夜間は特に段差の視認性を高めることが大切です。
災防メモ②階段を踏み外す主な要因
(1)歩幅と踏み幅

階段では、踏み幅に合わせて歩幅が決まります。

そのため、踏み幅が一定でないと歩調が乱れ、足を踏み外す原因となります。

また、最下段の高さが他の段と違うことに気づかず、同じ高さと思い込んで歩くと、歩調が乱れて転ぶこともあります。

(2)階段歩行中の視野
  • ①階段出入り口付近の視野
  • 下り階段の入り口では、歩行速度を落として歩幅を調整する必要があります。

    しかし、急いでいると歩幅を合わせられずに、踏み外してしまうことがあります。

    た、階段の入り口付近では最初の段と足元を注視し、一方で出口付近では足元への注視から前方への注視へと移行するとき、踏み外しが起こりやすくなります。

    つまり、階段での災害は、階段出入り口付近での歩行動作の変わり目、あるいは注視点の変わり目で多く発生するのです。

  • ②降りているときの視野
  • 階段を降りているとき、広い踏み面では足をどこに置くのか確認しやすいですが、急で狭い階段は足を置く位置が見えづらく、踏み誤りが多くなります。

    また、急な階段ほど、足をつけようとする段が太ももに隠れて見えなくなることがあり、その結果、踏み外すことがあります。

出典:

亀戸労働基準監督署「転倒災害を防止しましょう-転倒災害発生状況と予防対策-」https://jsite.mhlw.go.jp/tokyo-roudoukyoku/var/rev0/0146/3879/2015428971.pdf(2026/2/17)

ケガ(災害)を
防ぐために

今回は重篤な災害に繋がりやすい「墜落・転落災害」について、実際に起きた事例から見た分析結果を説明いたしました。「はしご・脚立」、「階段」での墜落・転落災害を起こさないためのポイントを以下にまとめました。

~はしご・脚立から落ちないようにするためのポイント~

移動はしごの使い方の解説画像
  • ・はしごの上部・下部の固定状況を確認しているか(固定できない場合、補助者が下で支えているか)
  • ・足元に、滑り止め(転位防止措置)をしているか
  • ・はしごの上端を上端床から60cm以上突出しているか
  • ・はしごの立て掛け角度は75度程度か
  • ・原則、昇降のみに使用する

脚立を安全に使用するために以下のポイントを確認しましょう。

脚立の使い方の解説画像
  • ・天板に乗ったり、またがったりしていないか
  • ・上から2段目の踏さんに立ち、身体を支えられているか(240cm以上の脚立では3段目)
  • ・2m以上での作業時は、ヘルメットだけでなく、墜落制止用器具も装着する

はしごや脚立の使用自体を避けること、手すり付きの作業台・脚立の使用を検討することが望ましいですが、検討しても他の対策が取れない場合は、上記のポイントに従ってはしご・脚立を安全に使用しましょう。

厚生労働省「はしごや脚立からの墜落・転落災害をなくしましょう!」https://jsite.mhlw.go.jp/tokyo-roudoukyoku/content/contents/002150049.pdf(2026/2/19)

~階段から落ちないようにするためのポイント~

◎荷物や暗い状態で視界が悪くなっている場合

・大きなかごやショルダーバックなどに荷物を入れることで、視界を確保し、手すりを持つ

・階段に人感センサー式の照明器具を設置する

◎階段自体が滑りやすくなっている場合

・滑りにくい素材のシールや床材を貼る

どちらの場合も、段差を目視し、手すりをしっかりと持つことで、転落の危険性を大幅に下げることができます。そのため、"ながらスマホ"でよそ見をしたり、ポケットに手を入れたまま昇り降りすることは大変危険です。階段を利用する際は、自宅内だけでなく、仕事場や駅でもしっかりと段差を注視し、手すりを持って昇降しましょう。

~まとめ~

「墜落・転落災害」は日常生活で誰もが利用するはしごや脚立、階段などによる災害が主な原因になっています。これらの昇降設備を利用する際は、リスクがあることを想定した上で、災害を防止するための対策と行動をとりましょう。