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ケガ(災害)発生データ

災害発生状況の分析 vol.8
「データから見る墜落・転落災害」~令和6年度 日本フルハップ災害防止統計資料より~

日本フルハップは、仕事に従事しているときのケガだけでなく、交通事故を含め日常生活全般のケガを補償対象としています。
この度、令和6年度のケガの発生状況等についてまとめました。皆様のケガの防止にお役立ていただければ幸いです。

【前回(令和6年度の災害発生状況)のおさらい】

災害発生状況の分析vol.7「令和6年度 災害発生状況の概要」で掲載した「令和6年度 原因別災害発生状況」では全体の災害発生件数が21,388件に対して、1位「転倒(5,813件)」、2位「交通事故(3,523件)」、3位「動作の反動・無理な動作(2,491件)」となり、前年度の3位であった「墜落・転落(2,428件)」は4位となっています。

墜落・転落災害の災害発生件数は令和5年度(2,605件)から令和6年度にかけて177件減少しましたが、他の災害と比較して、重症化しやすい傾向にありますので、注意が必要です。
今回は墜落・転落災害の特徴と効果的な対策についてご紹介いたします。

令和6年度 原因別災害発生件数
災防MEMO①墜落・転落とは

墜落・転落とは「人が樹木、建築物、足場、機械、乗物、はしご、階段、斜面等から落ちること」をいいます。(厚生労働省「事故の型分類表」)

また、「墜落」と「転落」の違いについて、労働安全衛生規則第518条の解釈例規では、「勾配が40度以上の斜面上を転落することは墜落に含まれる」とあります。つまり、勾配が40度以上であれば「墜落」、40度未満であれば「転落」と解釈できます。

墜落・転落災害を防止するため、労働安全衛生規則第519条第1項では、「事業者は高さ2メートル以上の作業床の端、開口部等で墜落により労働者に危険を及ぼすおそれのある箇所には、囲い、手すり、覆い等を設けなければならない。」とあります。

では、なぜ「2メートル」なのでしょうか。諸説ありますが、「人が2メートルの高さから墜落すれば、死に至る衝撃を受けるから、高さ2メートルを規制の高さとしている」と言われています。

≪参考≫木造建築物の軒先から墜落し、地面に衝突する瞬間は時速約40㎞の車にぶつかったときの衝撃と同じです。

出典:厚生労働省「墜落・転落災害をなくすために」https://jsite.mhlw.go.jp/fukui-roudoukyoku/content/contents/001167279.pdf

【墜落・転落災害の特徴】
~他の災害と比べ、重症化しやすい傾向にあります~

墜落・転落災害と他の災害(墜落・転落災害を除く)の重症化の度合いを調べるため、入院・往診・障害・死亡補償(以下、入院等)と通院補償(以下、通院)に分けて日本フルハップにおける令和6年度の補償別の件数比率と金額比率を比較しました。

件数比率に関して、入院等の割合は他の災害が15.25%であるのに対し、墜落・転落は27.90%と、1.83倍になっています。また、金額比率に関して、入院等の割合は他の災害が54.87%であるのに対し、墜落・転落は75.43%と、1.37倍になっています。

以上より、墜落・転落災害は他の災害原因に比べ、入院等の治療が必要になりやすく、重症化しやすい傾向にあることが分かります。

R6年度 補償別 件数比率(他の災害) R6年度 補償別 件数比率(墜落・転落) R6年度 補償別 金額比率(他の災害) R6年度 補償別 金額比率(墜落・転落)

【業種別の墜落・転落災害の内訳】
~墜落・転落災害は「建設業・業務中」で最も多く発生しています~

令和6年度における墜落・転落災害発生割合を業種別に比較すると、2,428件のうち「建設業」が754件で全体の3割以上を占めます。さらに、業務中と業務外に分けると、「建設業・業務中」が445件(18.33%)で最も多くなっています。

また、建設業では「業務中」の方が多くなっていますが、他の業種では「業務外」の方がやや多い傾向にあります。

R6年度 業種別 墜落・転落災害発生割合

【建設業における墜落・転落災害の要因】
~業務中では「はしご・脚立」、業務外では「階段」が主な要因となっています~

建設業における業務中・業務外のケガの要因について調べると、業務中では445件中177件(39.78%)が「はしご・脚立」、業務外では309件中140件(45.31%)が「階段」による災害となっています。

R6年度 建設業における墜落・転落の要因(業務外) R6年度 建設業における墜落・転落の要因(業務中)

特に業務中においては、「はしご・脚立」の他にも「足場・屋根・樹木」のような高所作業が想定される場所での墜落・転落も58件発生しており、「階段」と同程度となっています。 つまり、建設業においては仕事の性質上、高所作業が多いことから、他の業種よりも墜落・転落が多くなることが考えられます。

そこで、地面から1m~1.5m程度の場所で作業される場合は、足場台や作業台など、足場の面積が広いものを使用し、足場が設置できない2m以上の場所で作業される場合は、フルハーネス型墜落制止用器具(以下、フルハーネス)を着用してください。

業務外においては、「階段」からの墜落・転落が最も多くなっており、日常生活の中で「階段」は危険性が高い場所であることを再認識しましょう。

災防MEMO②建設業における墜落・転落の死亡災害対策

厚生労働省の統計資料によると、令和6年における労働災害のうち、死亡災害においては、建設業の割合が最も高く、全体の31%を占めています。さらに、建設業の災害原因別死亡災害では墜落・転落災害の割合が最も高く、全体の33%を占めており、77名の方が命を落とされました。

要因別にみてみると、令和元年~3年の建設業における墜落・転落による死亡災害では、屋根・屋上等の端・開口部からの災害が約3割足場からの災害が約2割はしご・脚立からの災害が約1割となっています。

これまでの労働安全衛生規則の改正により、足場からの墜落防止措置として、手すり、中さん等の設置や、足場の点検等が義務付けられてきました。さらに、フルハーネスの着用が義務化されるなど、災害が起こったとしても死亡災害に至らしめないための対策が講じられています。

出典:

厚生労働省 職場のあんぜんサイト「令和6年における労働災害発生状況(確定)」https://anzeninfo.mhlw.go.jp/user/anzen/tok/anst00.html

厚生労働省 「死亡災害発生状況の推移」https://www.mhlw.go.jp/content/11300000/000961124.pdf

ケガ(災害)を
防ぐために

今回は重篤な災害に繋がりやすい「墜落・転落災害」について、データから見た分析結果を説明いたしました。墜落・転落災害を防止するために以下のポイントに気を付けましょう。

~業務中における対策~

◎危険箇所等の洗い出し

墜落・転落災害を防ぐために、まずは高所作業における危険箇所等の洗い出しを行いましょう。作業開始前にそれらの危険箇所を認識しておくことで、手すり等の設置など具体的な対策を立てることができます。

    墜落・転落災害の主な危険箇所
  • □屋根等の端・開口部
  • □足場(特に安全点検が行われていない足場や組立・解体作業中)
  • □はしご・脚立

出典:
厚生労働省「建設業における墜落・転落災害防止対策の充実強化に関する実務者会合報告書概要」https://www.mhlw.go.jp/content/11201000/001005872.pdfをもとに日本フルハップ作成

◎フルハーネスの装着

もし墜落・転落災害が起きたとしても、フルハーネスを正しく装着することで、ケガの程度を軽くすることができます。例えば、高所から落下して宙づりになったとしても、荷重が肩や下肢などに分散され、痛みが軽減されます。また、体勢が安定するため、救助も容易に行うことができます。

さらに、万が一、落下時の衝撃でフルハーネスを取り付けていた柱が崩れ、地面に墜落した場合、足から着地することで頭部を保護できる可能性が高まり、死亡災害の防止に繋がります。

一般的にフルハーネスの交換目安は、使用開始よりランヤードが2年、ハーネス本体・ベルト部は3年とされています。今年(令和7年)は法改正から3年が経過していますので、今一度お手持ちのフルハーネスの使用開始日を確認し、必要に応じて買い替えましょう。

~業務外における対策~

業務外における墜落・転落災害の主なケガの要因は階段です。階段からの墜落・転落災害を防ぐために以下の点に気を付けましょう。

◎手すりを持つ

手すりは階段でバランスを崩した際に踏みとどまる支えになります。特に高齢者の方はバランス能力が低下するため、階段を上り下りする際は必ず手すりを持つように心がけましょう。

◎滑りにくい素材のシールや床材を貼る

滑りにくい素材のシールや床材は足裏と階段の摩擦を増やし、滑落するリスクを減少させます。特に屋外階段が雨などにより濡れた場合でも効果を発揮し、事故防止に効果的です。

◎階段に物を置かない

階段上の物はつまずきやすい障害物となり、墜落・転落の原因となります。常に物を置かず整理整頓を徹底しましょう。

◎照明の改善

暗い階段は足元の視認性が悪くなり、踏み外しやすくなります。特に夜中にトイレなどで移動する際、フットライト(足元灯)や人感センサー式の照明器具を設置し、段差をしっかり認識できる明るさを確保しましょう。

~まとめ~

墜落・転落災害は業務中の高所作業はもちろんのこと、日常生活でも起こる可能性があり、他の災害と比べても重症化しやすいため、職場内、自宅内問わず、危険な箇所を見つけたら、手すりの設置やフルハーネスの着用など適切な対策を講じましょう。