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高年齢労働者の安全対策

高齢者の労働災害防止は事業者の義務

中川 潔(安全安心株式会社)

労働安全衛生コンサルタントとして、業界問わず安全で快適な職場づくりをサポート。
安全衛生診断、現場指導や安全教育などを行い、企業の安全衛生レベル向上に努める。

労働者の体力を把握し災害の発生を防ぐ

「人生100年時代」を迎え、60歳以上の高年齢労働者はますます増加し、職場における労働災害リスクも高まっています。そのような社会的背景に基づき、今年4月施行の改正労働安全衛生法では、高年齢労働者に対する労働災害防止措置が事業者の努力義務に追加され、次のような指針が定められました。

【事業者に求められる事項】

  1. 安全衛生管理体制の確立等
    1. ❶ 経営トップによる方針表明と体制整備
    2. ❷ 高年齢労働者の労働災害防止のためのリスクアセスメントの実施
  2. 職場環境の改善
    1. ❶ 身体機能の低下を補う設備・装置の導入
    2. ❷ 高年齢労働者の特性を考慮した作業管理
  3. 高年齢労働者の健康や体力の状況の把握
    1. ❶ 健康状況の把握
    2. ❷ 体力の状況の把握
    3. ❸ 健康や体力の状況に関する情報の取り扱い
  4. 高年齢労働者の健康や体力の状況に応じた対応
    1. ❶ 個々の高年齢労働者の健康や体力の状況を踏まえた措置
    2. ❷ 高年齢労働者の状況に応じた業務の提供
    3. ❸ 心身両面にわたる健康保持増進措置
  5. 安全衛生教育
    1. ❶ 高年齢労働者に対する教育
    2. ❷ 管理監督者等に対する教育

継続的な体力チェックを

今回は、3の❷「体力の状況の把握」について説明します。指針では、事業者が高年齢労働者の体力状況を客観的に把握し、その体力に合った作業に従事させることが求められています。同時に、高年齢労働者も自身の体力を正しく認識し、身体機能の維持向上に取り組めるようにすることが大切です(個人事業主として自ら作業に従事する高年齢労働者も同様)。そのための手段として、体力チェックを継続的に実施することが望ましいとされています。また、身体機能の低下は高齢者に限らないため、青年期・壮年期からの実施も検討しましょう。

体力の状況を把握する方法のひとつが、バランス力を把握する「閉眼片足立ち」で、高齢者の労働災害に多い転倒・墜落・転落のリスクを測ることができます。

方法両手を腰に当て片足を上げます。スタートの合図で目を閉じ、その姿勢を保持できた時間を計測。2回実施し、よいほうの結果で評価します。

閉眼片足立ちイメージ 閉眼片足立ち評価表

作業者に自身のバランス力を自覚してもらうとともに、高リスクの方はバランス力を必要とする作業に従事させないことも労働災害防止につながります。

厚生労働省「職場のあんぜんサイト」では、ほかにもさまざまな体力チェックテストが紹介されています。

高齢者が安全に健康的に働けるよう配慮するのは事業主の責務です。健康状態・体力を把握し、安全安心な職場環境づくりに努めましょう。