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化学物質の厳格な管理

がん原性物質の作業記録を作成しましょう

中川 潔(安全安心株式会社)

労働安全衛生コンサルタントとして、業界問わず安全で快適な職場づくりをサポート。
安全衛生診断、現場指導や安全教育などを行い、企業の安全衛生レベル向上に努める。

作業者のがんの労災リスクに備える

労働安全衛生法では、次に掲げる【1】【2】の化学物質を扱う作業について、作業記録を作成し、30年間保存することが求められています。

【1】発がん性区分が「区分1」に該当する物質
(がんを発生させる可能性があると認められた物質)

対象となる化学物質の調べ方は以下のとおりです。

  1. ❶取り扱う化学物質の安全データシート(SDS)をメーカーまたは販売店から取り寄せます。がん原性物質198物質の規制は2024年4月1日に施行されました。そのため、それ以降に発行されたSDSの第2項「危険有害性の要約」欄に、発がん性区分が「区分1」と記載されているものが該当します。
  2. ❷発がん性の区分が「区分1」に該当するものの一覧は以下のページでも確認できます。
    https://www.mhlw.go.jp/content/11305000/001033355.pdf

【2】特定化学物質のうち、「特別管理物質」に該当する物質

「特別管理物質」の一覧(著者作成)は以下のページで確認できます。
安全安心株式会社ホームページ内https://www.eonet.ne.jp/~anzen/data.html

作業記録を残しましょう

作業記録は、作業員が将来、がんなどを発症した際、業務との関連性を証明する重要な文書となります。以下に示す項目について必ず記録を残しましょう。

なお、作業記録とともに、特殊健康診断の結果および作業環境測定の結果も併せて30年間の保存が必要です。

作業記録に必要な内容

  1. ❶ 作業内容
  2. ❷ 対象物質名、作業時間、使用量
  3. ❸ ばく露対策の内容
    (密閉装置、局所排気装置等の設備、保護具等)
  4. ❹ 対象物質に著しく汚染される事態の有無
  5. ❺ 汚染の事態が発生した場合には、その概要および応急措置の概要
作業記録イメージ 作業記録イメージ

※なお、作業記録は作業者ごとに作成してもよい。作業手順書等、作業内容がわかりやすい書類等があれば併せて保存することが望ましい。

作業記録は将来に備えて必要なものであり、作業者が有害な業務に従事しているという意識付けにもなります。確実な記録と保存を徹底しましょう。