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ワイヤロープの使い分け

「玉掛け用」「台付け用」種別と正しい使用法

中川 潔(安全安心株式会社)

労働安全衛生コンサルタントとして、業界問わず安全で快適な職場づくりをサポート。
安全衛生診断、現場指導や安全教育などを行い、企業の安全衛生レベル向上に努める。

ワイヤロープを正しく使用し事故を防ぐ

ワイヤロープは製造、物流、建設など、さまざまな現場で使用され、主として、クレーンのフックに掛けて荷物を吊り上げる「玉掛け用」と、貨物自動車の荷台などに荷物を固定する「台付け用」の2種類があります。

見た目は同じように見えますが、製造方法や強度を示す安全係数が異なり、玉掛け作業に台付け用ワイヤロープを使用すると、切断など大きな事故につながります。ワイヤロープの区分を理解し、正しく使用することが大切です。

※品質のバラつきや使用中の摩耗などを考慮した指標。数値が大きいほど切れにくいと判断される

■ワイヤロープとは

複数本の素線をより合わせてストランドとし、このストランドを複数本より合わせたものがワイヤロープです。ストランド数が6本の6ストランドロープが代表的で、このワイヤロープに輪(アイ)を作ったものが現場で使用されています。

ワイヤーロープイメージ

■玉掛け用と台付け用の違い

区分使用目的安全係数
玉掛け用 荷や物を吊り上げる 6以上
台付け用 荷や物を固定する 4以上

玉掛けワイヤロープに関しては、クレーン等安全規則第219条でアイ部分(輪になる部分)の差し込み方法(編み込み方法)が決められており、半差し(ストランドを半分に切り落としてさらに編み込む)を行うことで強度を高めています。一方で、台付けワイヤロープには半差しをしないのが一般的です。そのため、玉掛けワイヤロープと比べて強度が低く、荷重がかかると編み込み部分が抜ける可能性があります。

■玉掛け用と台付け用の見分け方

新しく購入した際には商品タグなどで種類を判別できますが、タグがないと区別がむずかしくなります。その場合は、下図を参考に見分けましょう。

●玉掛けワイヤロープ

ストランドを3回以上編み込み(丸差し)、ストランドを半分に切り落として、さらに2回以上編み込むため、素線のひげが2カ所出ています。

玉掛けワイヤーロープイメージ

●台付けワイヤロープ

半差しを行わないため、ひげは1カ所です。

台付けワイヤーロープイメージ

■作業開始前の点検

玉掛けワイヤロープも台付けワイヤロープも、作業開始前の点検が法令により義務づけられています。種別を確認し、切れ、変形、さび、編み込み状態を点検したうえで作業を行いましょう。

吊り荷が落下した場合、重大な事故につながります。ワイヤロープの区分を理解し正しく使用しましょう。玉掛け用と台付け用の両方のワイヤロープを使用する事業所はとくに注意が必要です。