災害防止女性作文コンクール大賞受賞作品
階段の安全対策
京都府 栄 正美(京都嵯峨ぱそこんクラブ)
我が家でパソコン教室を営んでおります。
二階の二部屋に教室を設けているため、生徒さんが受講の際は毎回二階に上がって頂きます。住宅街という場所柄、シニアの生徒さんが全生徒さんの半数近くを占めていますが、開講当初は階段に手摺りを取り付けていませんでした。
ご年配者にとって階段は非常に危険な場所だと感じることが多くなり、ラセン階段の外周(右手)に手摺りを取り付けました。皆さんは、教科書を入れる鞄を持たれるため、片手がふさがった状態で上がられることが多く、右利きの方は右手がふさがるので、階段の内側(左手)にも縦方向の手摺りを追加しました。すると、この縦に付けた手摺りをご年齢に関わりなく皆さんが頻繁に利用されるようになりました。(※写真)
また、階段の上り下りの際は「お気をつけてお上がりください。」とか「ゆっくりお下りください。」と必ずお声かけしていますが、お声かけしているにもかかわらず、慌てて下りて階段を踏み外され、ヒヤッとすることが度々ありました。滑り止めも検討しましたが、逆に突っかかった時の危険性を考え躊躇しています。
そこで、スタッフが生徒さんより先に上り下りし、わざとゆっくりといく対策を実行してみたところ、これが効果抜群で、それ以降踏み外す方はなくなりました。生徒さんの後ろからスタッフが付いていくと、つい慌ててしまうのが人間の心理かもしれません。
また、最終の授業終了時間が夜九時で、長時間パソコン画面を見た後の疲れ目で、階段へ向かうと、部屋に比べうす暗く、足元が見えにくくなります。そこで、階段の邪魔にならないスペースに、センサーランプを取り付けました。明るいだけでも安心感があり、階段の危険性が軽減されたと思います。
また、スリッパを履いて階段の上り下りされた場合、足の裏からスリッパが離れるため、意外にスリッパの苦手な方が多いことが分かりました。苦手な方の為に、二階にもスリッパ立てを設けました。
同時にスリッパ選びにも気を配るようになり、スリッパが曲がった状態のとき、出来るだけ足の裏からスリッパが離れないもの、底が薄手で柔らかいものを選ぶようになりました。スリッパによってこんなに差があるのかと私自身が感じます。
以前、実家で私の母が階段で足を滑らせ怪我をして入院したことがあります。幸い怪我は大したことなかったのですが、今から思えばその時の入院が認知症のきっかけになったのではと思っています。
そんな経験から、万一、生徒さんが階段で転倒されたらと思うと、特にご年配の方への不安は絶えません。今も万全とは言えませんが自分なりに実行できる対策は取り入れて、以前より安心できるようになり、今のところ無事故です。接客業の場合、安全対策を講じるというのは、物理的に危険回避するだけでなく、相手の安全を考えることで、自分自身も安心感が得られると思います。
生徒さんへのアンケート用紙の中に、施設についての要望欄も加えて、昨年玄関前の自転車置き場にソーラーランプを設置しました。スタッフが気付かない面も多々あるので、皆さんのお声に耳を傾けるというのも、事故を未然に防ぐことに繋がると思います。
これからも、よりよい環境で学習していただけるよう努めたいと思っています。
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